ルパン三世PART3
製作決定直後の青木悠三氏によるラフスケッチ&インタビュー
 (近代映画社/ジ・アニメ’83年12月号より抜粋)

キャラクター・デザイン、作画監督をひきうけた青木悠三氏は、
71年の旧「ルパン」シリーズ以降、ずっと「ルパン」の製作に参加してきた、いわば「ルパン」のプロフェッショナル。
そのキャリアからいえば今回の重要な役所も当然と言えよう。
(中略)
見ようによってはどれだけのことばを費やすよりも、
この一枚が帰ってきたヒーローたちのニュー・スタイルについて大きなヒントを与えてくれるだろう。
基本をふまえ、原作に戻り、しかも微妙にこれまでのルパンたちと違う四人のスタイルに注目されたい。
(記事本文より)

キャラクターが頭の中で生きてくると、勝手に動いて表情を作る。
キャラデザイン/青木悠三氏

ー キャラクター・デザインの担当決定から間もないと聞いたのですが?
青木 話があるまで全然知らなくて、けど、本当にやるなんて思わなくてね(笑)
やるとしても、もっと大御所の方がやるのだろうと思ってましたから。
今あわてて、モンキー・パンチさんの絵を一から研究しなおしてます(笑)
ラフ・スケッチは、あくまでその第一稿です。
でも、決定稿は1ヶ月以内かもっと早くだすことになると思います。
僕がキャラクター・デザインの責任を持ってますからね。

ー 「ルパン」シリーズとはかなり長いおつきあいですね。
青木 大塚(康生)さんが作画監督をやられた旧シリーズの頃から、ずっと「ルパン」に参加していて、
ルパンの全部の絵柄描きましたよ。芝山努さんの(キャラクター設定をした)パイロット版もやったことがあります。
どなたの絵もそれぞれに好きだし影響させてもらいました。
アニメーターから始まって約12年この仕事を続けているけど、
芝山さんや手塚治虫さんなどいい先生にいっぱいめぐまれたなと思って。
ただ、考えてみると新シリーズ終わってから。ここ2、3年全然ルパン描いてないんですよね(笑)

ー デザインするにあたって、どういうイメージで進めているのでしょうか?
青木 思いつきでいえば、今回はまた一に、原点に戻るしかないと思ってます。
飯岡さんたちと同じように、旧「ルパン」の絵を下敷きにというのはいいんじゃないかな。
モンキーさんの原作も始まったころと後とで絵が変化してるけど、絵だけでいうなら後半が僕の好みですね。
初期のころのもまたいいんだけど、アニメ化するとしたら後半の方がしやすいって考えちゃう。
アニメーションのキャラクターはそれなりにシンプル化して、
誰にも描きやすくパーフェクトに作らなくちゃならないから、自己満足にならないようにやっていきたいと思ってます。
まだキャラクターが頭の中で生きてないんですが、生きてくるとイメージが勝手に動き出して表情を作っていく。
そういう状態になってやっと本調子なんですけどね。

ー これでキャラクター・デザインと脚本が完成すると実製作に入って、そちらでは作画監督をやられるわけですね?
青木 デザインを決めても、いろいろな人の意見を聞いて、スタッフの中でも変更があるでしょうね。
また、どういう話になるか、脚本によっても変わってくるでしょうし、
放映が始まれば、それにつれて絵の方も少しづつ硬さがとれて変わっていくものなのです。
作監として「PARTlll」に加わっても、僕はなるべく各プロダクションの個性をだしていければと思っている。
そういう融通のきく絵柄にしたいし、
最初は自分で押さえても、みんなが慣れてきたら、各スタッフの個性がでてくればいいと。
それにはキャラクター・デザインそのものに包容力がないとね。
新シリーズのように演出もやるとなれば そちらでは脚本重視で、絵のように特に原作を意識はしないでしょうね。

ー 一個人として「ルパン」という物語、あるいはキャラクターがお好きですか?
青木 銭形は体制側の人間だから別として(笑)、
ああいう四人組が、東西対立とかでもめる せちがらい世界に、もしかしたらどこかで本当に生きているんじゃないかって考えると楽しい。好きですね。
そういう意味ではああいうキャラクター考えて物語にしてしまった原作者もすごいと思うし、スケールの大きいキャラクターですよね。
ただ、あんまり長くつきあってたんで、やめたいという気持ちともからんで複雑です(笑)。

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